看護職お役立ちコラム
看護師のワークライフバランスとは?
重要性や課題と実現に向けた
ポイントを解説
「夜勤や残業が多く、体力的に限界を感じている」
「仕事と家庭の両立がうまくいかない」
このように、ワークライフバランスに悩む看護師は少なくありません。
近年、働き方改革が進む一方で、依然として厳しい労働環境が残る医療現場も多いのが現状です。
本記事では、看護師のワークライフバランスの重要性をはじめ、現状や課題を整理し、
実現に向けた具体策を紹介します。自分に合った働き方を模索している方は、
ぜひ参考にしてみてください。

看護師におけるワークライフバランスの重要性
ワークライフバランスとは、仕事と生活をバランスよく両立させることを指します。夜勤や休日出勤が多い看護師は、勤務形態が不規則になりやすく、生活リズムの乱れや慢性的な疲労、メンタルヘルス不調に陥るリスクも高まります。こうした状態が続くと、健康を損ない、働き続けることが難しくなり、離職に至るケースも少なくありません。ワークライフバランスが整うことで、日々の充実感が高まり、仕事へのモチベーションも向上しやすくなります。さらに、ストレスや疲労感の軽減など、心身の健康維持にもつながります。看護師一人ひとりが長く安心して働き続けるためには、ワークライフバランスの実現が欠かせないテーマといえるでしょう。
看護師のワークライフバランスの現状
看護師のワークライフバランスは、近年注目が集まっているものの、依然として多くの課題が残っています。日本看護協会の報告書によると、持ち帰り仕事がある看護師の割合は平成24年度以降30.2%〜31.4%であり、始業前に残業している看護師も58.6%〜58.8%と半数を超えています。さらに、時間外労働をしている看護師の割合も77.9%〜78.7%と高い水準で推移しています。
参照:日本看護協会「看護職のワーク・ライフ・バランス(WLB)インデックス調査」データ分析報告書
こうした状況は、長時間労働や持ち帰り仕事が常態化していることを示しており、家庭生活やプライベートとの両立を難しくしている要因のひとつです。仕事と生活のバランスを整える取り組みは進みつつありますが、多くの現場では未だ業務負担の大きさが課題となっているのが現状です。
看護師のワークライフバランスが実現しにくい課題
近年、看護師のワークライフバランスは重要視されつつありますが、実際には多くの課題が残っています。
ここでは、ワークライフバランスの実現を難しくしている要因と、その背景について解説します。
・ 不規則なシフト勤務
・ 慢性的な人手不足
・ ライフイベントとの両立の難しさ
●不規則なシフト勤務
看護師の多くは、夜勤を含む不規則なシフト勤務が基本となっています。業務の特性上、24時間体制で患者さんをケアする必要があるため、日勤・夜勤・準夜勤など勤務時間が細かく分かれており、生活リズムを整えにくいのが現状です。そのため、不規則な勤務によって生活リズムを崩し、睡眠不足や疲労の蓄積を感じる看護師も少なくありません。体調不良やメンタルヘルスの不調に発展するリスクも高く、私生活への悪影響も懸念されます。こうした状況を改善するには、シフトの柔軟化や勤務時間の適正化、業務効率化による労働環境の整備が求められます。
●ライフイベントとの両立の難しさ
看護師は女性比率が高い職種のため、結婚・出産・育児・介護といったライフイベントと仕事の両立が課題のひとつです。産休・育休制度があっても、職場の理解が不十分だと取得しづらく、結果的に離職を選ばざるを得ないケースも見られます。
仕事と家庭を両立できない環境は、看護師自身のキャリア形成の機会を奪うことにもなりかねません。ライフイベントを迎えても安心して働き続けられるよう、柔軟な勤務体制の導入やサポート制度の拡充が求められるでしょう。
●慢性的な人手不足
看護師不足は長年にわたる課題です。特に、経験者の離職率が高止まりしていることが問題視されています。
日本看護協会が2024年に実施した「病院看護実態調査」によると、新卒看護職員の離職率は改善傾向にあるものの、正規雇用看護職員の離職率は依然として横ばいの状態です。さらに、既卒採用者で年度内に離職した割合は16.1%にのぼり、転職後すぐに離職するケースも少なくありません。
参照:日本看護協会「2024年病院看護実態調査」
人手不足が続くことで、1人あたりの業務負担が増え、残業や休日出勤が常態化しやすくなります。その結果、長期休暇や連休も取りにくくなり、さらなる負担増につながる悪循環が生じています。
この状況はワークライフバランスの悪化を招き、離職を引き起こす原因にもなっています。持続可能な働き方を実現するためには、職場環境の整備やキャリア支援、待遇改善などを通じた定着率向上が不可欠といえるでしょう。
看護師がワークライフバランスを実現するためにできること
課題が多い中でも、工夫次第でワークライフバランスを改善することは可能です。 ここでは、看護師が自分らしい働き方を実現するために取り組める具体的な方法をご紹介します。
1. 理想のワークライフバランスを明確にする
2. 理想に合った職場・働き方を選ぶ
3. オン・オフの切り替えを意識する
●理想のワークライフバランスを明確にする
ワークライフバランスを実現するためには、自分にとって理想のバランスを明確にすることが大切です。どのような働き方や生活を送りたいのか、キャリアプランやライフプランを具体的に可視化していきましょう。たとえば、以下のように目指すゴールを明確にすることが重要です。
● 夜勤を減らして家族との時間を増やしたい
● キャリアアップのために専門資格を取得したいなど
目標が定まることで、転職や働き方を見直す際にも判断基準がぶれず、自分に合った選択がしやすくなります。
将来のビジョンを持つことで、仕事へのモチベーション維持にもつながるでしょう。
●オン・オフの切り替えを意識する
ワークライフバランスを保つためには、仕事と私生活のオン・オフを意識して切り替えることも重要です。「勤務時間外には極力仕事を持ち込まない」「休日はしっかり休む」など、意識的な区切りをつけることが欠かせません。
たとえば、以下のような過ごし方もおすすめです。
● 趣味の時間を確保する
● ウォーキングやヨガなど軽い運動でリフレッシュする
● 友人や家族と過ごす時間を大切にする
自分に合ったリフレッシュ方法を見つけることで、ストレスをため込みにくくなり、仕事へのモチベーション維持にも役立ちます。心身ともにリフレッシュできる習慣を持つことが、長く働き続けるための大切な基盤となるでしょう。
●理想に合った職場・働き方を選ぶ
理想のワークライフバランスを実現するためには、それに合った職場や働き方を選ぶことも欠かせません。病院の規模や診療科、勤務形態によって、働く環境は大きく異なります。たとえば、日勤のみのクリニック勤務や夜勤専従といった働き方、訪問看護や介護施設での勤務など、さまざまな選択肢があります。家族との時間を大切にしたい場合には、パートや契約社員といった柔軟な雇用形態を選ぶのも一つの方法です。自分の理想に近い環境を選ぶことが、仕事と私生活のバランスを整える第一歩となります。職場や働き方にこだわることで、無理なく長く働き続けられる環境を手に入れやすくなるでしょう。
看護師のワークライフバランス改善に向けた取り組み
近年、多くの医療機関で看護師のワークライフバランス改善に向けた取り組みが進められています。
日本看護協会の「2024年病院看護実態調査」によると、正規雇用看護職員に対して、短時間勤務や職務限定といった多様な働き方を導入している病院は、約4割にのぼります。
参考:日本看護協会「2024年病院看護実態調査」
また、夜勤専従や多様な夜勤形態の導入も進み、子育てや介護といったライフイベントと仕事を両立しやすい環境づくりも進められています。こうした柔軟な働き方の広がりは、看護師の定着率向上や離職防止にもつながると期待されています。
一方で、これらの取り組みの導入状況は医療機関によって差があり、さらなる改善や制度の拡充が求められています。
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まとめ
看護師のワークライフバランスを
見直して自分に合った働き方を選ぼう
看護師の仕事はやりがいのある反面、心身に負担がかかりやすい職業でもあります。ワークライフバランスを整えることは、心身の健康を守り、仕事へのモチベーションを維持するために欠かせません。現状では課題も多く残っていますが、自分自身の理想を明確にし、働き方を見直すことで改善につなげられるでしょう。近年では、看護師のワークライフバランス改善に取り組む医療機関も増えています。さまざまな情報にアンテナを張り、サポート制度を上手に活用しながら自分に合った働き方を選ぶことが、ワークライフバランスを見直す第一歩となるでしょう。

