看護師が中途採用で落ちるのはなぜ?
不採用になる10個の理由と対策
看護師として働いていた経験があっても、いざ中途採用を受けると
「自分は採用されるだろうか……?」と不安になるのではないでしょうか。
経験があるにもかかわらず不採用が続く原因は、スキル不足とは限りません。
面接や書類での伝え方や事前の準備不足などが要因になっているケースが多いのも実情です。
この記事では、看護師が中途採用で落ちる理由を整理し、採用につながる対策について解説します。
転職活動がうまくいかず悩んでいる方や、これから応募を始める方も、ぜひ参考にしてみてください。
看護師が中途採用で落ちる理由10選
看護師が中途採用で落ちる理由は、経験や資格だけではありません。
ここでは、採用担当者が実際に重視している視点をもとに、落ちやすい理由を紹介します。
1. 志望動機が抽象的で伝わらない
2. 退職理由がネガティブ
3. 面接での受け答えが曖昧・一貫性がない
4. 転職回数が多い
5. 自己主張が非常に強い
6. 希望条件が明確になっていない
7. ブランク期間が長すぎる
8. 看護師としての経験が浅い
9. 競争率の高い求人ばかり応募している
10. ビジネスマナーに問題がある
●志望動機が抽象的で伝わらない
看護師の中途採用では、志望動機が採用側に「きちんと伝わっているか」が非常に重要です。採用担当者は面接で、応募者の熱意や意欲、将来のキャリアの方向性を知りたいと考えています。「自宅から近い」「残業が少なそう」など、勤務条件だけを志望理由としてあげると、他の応募者との差別化が難しくなります。一方で、理念や看護方針、患者層、診療科の特徴など「応募先ならでは」の要素を踏まえた志望動機であれば、「なぜこの職場なのか」を明確に示せるでしょう。さらに、これまでの経験を活かせる点や、看護観などを組み合わせることで、より説得力が高まります。
●退職理由がネガティブ
中途採用の面接において、ほとんどの場合「退職理由」を聞かれます。退職理由は伝え方次第で印象が大きく変わるため、注意が必要です。たとえ、人間関係の悩みや残業の多さなどが退職理由であっても、前職の環境を否定しすぎるのは避けるべきでしょう。ネガティブな表現が多いと「周囲とトラブルが起こりやすそう……」「協調性が低いのでは?」と受け取られてしまう可能性もあります。面接では、事実を簡潔に伝えつつ、今後どのような働き方をしたいのかという前向きな方向性を添えると印象が大きく変わるでしょう。退職理由を「目標のキャリアにつながる一歩」として伝えることで、信頼性が高まりやすくなります。
●面接での受け答えが曖昧・一貫性がない
面接でよく見られるのが「話が伝わらない」「回答の内容が毎回少しずつ違う」といったケースです。受け答えが曖昧なままだと、自信がない印象や準備不足と受け取られ、強みやアピールポイントが伝わりにくくなります。面接の前には「退職理由」「志望動機」「これからのキャリア」などを整理し、それぞれが矛盾しないよう言語化しておくことが大切です。また、回答が短すぎたり長すぎたりするのも、意図が伝わりにくくなる要因です。簡潔なエピソードを添えながら答えることで、説得力が高まります。言い回しに自信がない場合は、紙に書き出したり、実際に声に出して練習したりするのも効果的です。
●転職回数が多い
看護師は、働く環境によって経験できる業務内容や患者層が変わるため、転職は珍しいことではありません。ただし、短期間での離職が続いていたり、転職回数が多かったりすると「またすぐに辞めるのではないか」と採用側が不安を抱きやすくなります。履歴書や面接では、職場を変えた理由や意図を、一貫性を持って説明できるよう準備しておくことが大切です。たとえば「多くの患者と接した経験を、今後は〇〇の分野で活かしたい」というように、具体的なキャリア形成と結びつけて説明すると良いでしょう。「転職で得た学び」と「それを今後どのように活かすのか」まで伝えると、前向きな転職理由として受け取られやすくなります。
●自己主張が非常に強い
看護の現場は、医師・看護師だけでなく、理学療法士や薬剤師、介護士など多くの職種間での連携が欠かせません。自己主張が強すぎる印象があると「周囲と衝突しやすいのでは?」「協調性が低いのでは?」と見られる可能性もあります。意見を持つことはよいですが「相手を尊重しながら対話できる姿勢」を示すことが大切です。面接では、チームで連携した経験や、困難な場面で周囲と協力したエピソードなどを伝えるとよいでしょう。「自己主張が強い」のではなく「適切に意見を伝え、周囲と協力して働ける人」という印象を与えられると、採用担当者が不安を感じにくくなります。
●希望条件が明確になっていない
転職活動では、夜勤の可否や診療科、通勤距離、勤務形態など、希望条件を整理したうえで応募することが重要です。希望条件が曖昧なまま採用されても、結果的に条件が合わず短期離職につながる可能性が高くなります。事前に希望条件を明確にしておくことで、求人の取捨選択もしやすくなり、結果的に採用率が高まることも期待できます。志望動機や自己アピールなどにも一貫性が生まれやすく、採用側も「長く働いてくれそう」という安心感を持ちやすくなるでしょう。「とりあえず受けてみる」のではなく、条件に合った求人を優先的に選び、効率良く活動を進めることが、転職成功の近道といえるでしょう。
●ブランク期間が長すぎる
結婚・出産・育児・介護などで、ブランクがある看護師は珍しくありません。ただし、期間が長い場合、「感覚を取り戻せるのか」「最新の医療技術に対応できるのか」といった点を採用側が気にかけることがあります。現場の人員体制によっては、採用に慎重になるケースもあるでしょう。とはいえ、最近では各自治体や医療機関などで復職支援をサポートする動きが増えており、「ブランクOK」の求人も多くなっています。長いブランクがある場合は、以下のような「学び直しの姿勢」を伝えることが大切です。
・復職支援研修に参加している
・最新の医療知識について学んでいる
・実務に向けた準備を進めている
「ブランクがある=不利」と考えるのではなく、取り組んでいる準備や意欲を具体的に示すことが大切です。
●看護師としての経験が浅い
看護師としての経験年数が浅い場合、中途採用で不利になることがあります。「未経験OK」の求人であっても、応募者の中に臨床経験が豊富な看護師がいれば、そちらが採用される可能性が高まるでしょう。ただし「経験が浅い=採用されない」わけではありません。スキルアップや資格取得を目指して学んでいる場合などは、面接や書類で伝えることで採用されるケースもあります。「実技研修で〇〇を学んでいる」「〇〇の症例に関する講座を受講している」といった学ぶ姿勢を示すことで、成長意欲を評価されやすくなるでしょう。
●競争率の高い求人ばかり応募している
求人の中には、人気が集中する診療科や施設もあり、競争率が高くなることがあります。日本看護協会の分析でも、施設種別によって求人数が大きく異なることが報告されています。求人数が限られた現場にばかり応募を続けると、それだけ採用確率は低くなります。採用確率の低い求人に応募が偏っている場合は、求人数が比較的多い施設や診療科にも目を向けつつ、自分の強みや経験に合った職場を選ぶことも大切です。希望条件とこれまでの経験を踏まえて応募先を絞ることが、採用率を高めるポイントといえます。戦略的に動くことで応募先の選択肢が広がり、転職活動の負担を軽減できるでしょう。
参考:日本看護協会「ナースセンター登録データに基づく看護職の 求職・求人・就職に関する分析結果」
●ビジネスマナーに問題がある
医療現場の看護師は、患者やご家族、医師、多職種のスタッフなど、多くの人と関わりながら仕事を進める必要があります。そのため、専門知識やスキルだけでなく、社会人としての基本的なマナーも大切です。面接では、特に以下のポイントに注意が必要です。
・身だしなみ
・言葉遣い
・態度
・時間管理
これらのポイントが欠けていると「患者対応に問題がありそう」といった印象につながり、採用が見送られる可能性もあります。心当たりがある場合は、面接前に改めてビジネスマナーの振り返りをしておくと安心です。
定年後の看護師におすすめの転職先看護師が中途採用に落ちる・不採用を防ぐ具体的な5つの対策・コツ
中途採用を成功させるには、正しい準備と面接時の伝え方が大切です。
ここでは、採用されやすくなる具体的な対策を5つ紹介します。
1. 志望動機は具体的に伝える
2. 退職理由は前向きな内容に整理する
3. よく聞かれる質問と回答を事前に準備しておく
4. 面接で答える内容は応募書類との一貫性をもたせる
5. 模擬面接や第三者のフィードバックを活用する
●志望動機は具体的に伝える
志望動機は、採用担当者が「なぜ当院なのか」「看護師としてどのように働きたいか」を理解するうえで、重要視されるポイントです。「家から近い」「夜勤が少ない」といった条件面だけでは、熱意が伝わりにくいうえ、マイナスの印象につながる可能性もあります。志望動機を伝える際は、以下の項目について具体的に伝えるとよいでしょう。
・応募先の患者層
・診療体制
・診療科・専門分野
・看護方式
応募先ならではの特徴を踏まえたうえで、経験やスキルとともに伝えると、前向きな意欲が伝わりやすくなります。
●退職理由は前向きな内容に整理する
退職理由は、返答の仕方によって印象が大きく変わるため注意が必要です。人間関係や業務の忙しさといった理由を強調しすぎると「職場でトラブルがあったのでは」と採用側が不安に感じることがあります。本当はネガティブな理由であっても、そのまま伝えずに前向きな視点や今後のキャリア目標などに変換して伝えるのがポイントです。たとえば、夜勤の負担が理由の場合でも「長く看護師を続けるために、体調を整えながら働きたいと考え転職を決意しました」という伝え方であれば前向きな印象になります。「問題から逃げた」のではなく「自分の働き方を前向きに見直した」という姿勢を示すことで、採用担当者の受け取り方は大きく変わるでしょう。
●よく聞かれる質問と回答を事前に準備しておく
中途採用の面接では、どの職場でも共通して聞かれる「定番の質問」があります。あらかじめ整理しておくことで、緊張していても落ち着いて答えられ、伝えたい内容がブレにくくなります。多くの面接で聞かれるのは、主に以下の内容です。
・志望動機
・退職理由
・自身の強み・弱み
・患者との印象的なエピソード
・看護観
これらの質問にその場で考えながら答えようとすると、話が長くなりすぎたり、逆に短すぎて意図が伝わらなかったりすることがあります。無理に丸暗記する必要はありませんが、伝えたい要点だけでもメモしておくと安心でしょう。
●面接で答える内容は応募書類との一貫性をもたせる
面接で話す内容と、履歴書・職務経歴書に記載した内容にズレがあると、採用側に疑問や不安を与えやすくなります。特に、退職理由や志望動機に一貫性がない場合「本当の理由は別にあるのでは?」と捉えられ、信頼性が揺らぐ可能性があります。
面接は書類だけでは伝わりにくい人柄や、仕事への姿勢を知る場です。経験してきた診療科や得意分野、看護観、患者との向き合い方などを、応募書類の記載内容と結びつけて伝えることが大切です。書類と面接内容が矛盾なく一致していることで、信頼性が高まりやすくなるでしょう。
●模擬面接や第三者のフィードバックを活用する
分ではしっかり話せているつもりでも、第三者から見ると「声が小さい」「表情が硬い」など、自分では気づけない課題が見つかることは珍しくありません。第三者からのフィードバックを活用すると、改善点が明確になり、効率的に面接対策が進められます。声のトーンや視線の使い方、効果的な回答の仕方など、細かな点も事前に確認できるため、積極的に活用するのがおすすめです。一人で面接対策するよりも、第三者の視点を取り入れて改善することで、面接にも自信を持てるようになるでしょう。
ブランク・年齢・転職回数が不安な看護師の中途採用対策
看護師として転職を目指している方の中には、ブランクや年齢、これまでの転職回数などに不安を感じている方も多いでしょう。しかし「働く意欲」と「学び直す姿勢」があれば、復職は十分可能です。復職においては、ブランクや年齢よりも、基本的なスキルの学び直しや最新技術・知識のアップデートに取り組む姿勢が重視される傾向があります。各自治体のナースセンターでは、復職支援サポートとして段階的な研修や講座を実施し、基本的な実技研修や最新の看護知識、電子カルテの講習などを開催しています。こうした研修や講座への参加を面接で伝えることで「学び直して現場復帰したい」という意思を示せるため、大きなアピールポイントにもなるでしょう。
中途採用で復職を目指す看護師の支援なら愛媛県ナースセンター
愛媛県ナースセンターでは、中途採用や復職に不安がある看護師のために、さまざまな支援やサポートを用意しています。
主なサポート内容は、以下のとおりです。
・ 無料求人紹介
・ 就職相談
・ 講習会・セミナー
・ 実技研修
特に就職相談では、履歴書の書き方や面接対策、希望に合わせた求人提案など、一人ひとりの悩みに寄り添ったサポートを提供しています。看護師資格を持つ担当者が在籍しているため、現場の視点を踏まえた、実践的で具体的なアドバイスが受けられる点も大きな強みです。さらに、知識やスキル面に不安がある看護師の復職や転職に向けた実技研修や講習会も開催。学び直しやスキルアップのニーズに応えるサポート体制も整っています。「e-ナースセンター」に登録すると、愛媛県ナースセンターの提供する全てのサポートが利用可能です。最新の求人情報や研修情報も受け取れるため、愛媛県内での復職や転職を目指す方はぜひご利用ください。
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まとめ
中途採用で落ちる看護師は
事前の準備と正しい対策が採用のコツ
中途採用で落ちてしまう理由は、経験やスキルだけとは限りません。志望動機の伝え方や書類との一貫性など、ちょっとした工夫で印象は大きく変わります。また、ブランクや年齢、転職回数を不安に感じている場合でも、学び直しや復職支援制度の活用で、前向きな姿勢をアピールすることも可能です。良い結果につながらない方は、一人で抱え込まず、自治体のナースセンターの相談窓口などを利用するのもおすすめです。正しい準備とサポート制度などの活用で、効率良く転職活動を進めていきましょう。